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「肉汁」の読み方とは?知らないうちに変化している言葉

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出典:http://ムーミン.net

 

「母には二たびあひたれども父には一度もあはず(母には二度会い父には会わぬもの)」なぁ~んだ?

 

これは日本で最初のなぞなぞ集におさめられていたなぞなぞです。

 

その答えを知ることは日本語の発音の変化を知ることにもなります。

 

日本語は、発音・読み方・使い方・言葉の意味まで、変化を経て今に至っています。

 

それでは現在私たちが使っている発音や言葉は間違っているのでしょうか。正しく直す必要はあるのでしょうか。

 

そんなことより先程のなぞなぞの答えは何かって?

 

それでは、早速紐解いて行きましょう!

 

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発音の変化の例

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出典:http://www.tos-land.net

 

室町時代の日本最初のなぞなぞ集「後奈良院御撰何曾」(「ごならいんぎょせんなぞ」又は「ごならいんごせんなぞ」)より。

 

「母には二たびあひたれども父には一度もあはず」、答えは「くちびる」です。

 

ハハと発音する為には上下の唇が二度互いに触れ合いますが、チチと発音する時には唇は動かない・触れ合わない、というのがこの答えの解説です。

 

「でも…あれっ!?ハハもチチもどっちも唇くっつかないけど!?」

 

と、何度もチチ、ハハ、チチ、ハハと発音している皆さん、ご安心下さい。

 

これは何故かというと、この本が出来た当時は「母」をファファ(fafa)またはファワ(fawa)と発音していたからなのです。

 

ハ行がH音ではなくP音またはF音だったという証拠として、言葉に興味のある方にはお馴染みのなぞなぞです。

 

(ちなみに、父=チチでも唇は触れ合いませんが、その当時は「父」をティティ(titi)と発音していました。)

 

江戸時代初期の庶民のハ行の発音は既にH音に変わっていたということですから、何百年もの時間をかけて少しずつ少しずつ変わっていったのですね。

 

ハハ・チチ以外にも、奈良時代には促音(っ)、撥音(ん)、拗音(きゃ、きゅ、きょ等)がなく、「i・e・o」が二種類あったので「き、け、そ、と、の、ひ、へ、み、め、よ、ろ、も」に2種類ずつ発音がありました。

 

タ行は「た、てぃ、とぅ、て、と」、ハ行は「ふぁ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ」、 ワ行は「わ、ウィ(ヰ)、ウ(wu)、ウェ(ゑ)、ウォ(を)」。

 

そして四つ仮名(じ、ぢ、ず、づ)も全部発音が違っていたのです。

 

では何故、今の発音に変わって行ったと思いますか。

 

それはただ単に、言葉が簡素化されたのです。

 

皆さんも「こんな発音絶対無理!」「面倒臭~い!」って思いませんでしたか?

 

面倒臭かったりそんなに使わない発音は、自然と淘汰されるのです。

 

慣用された読み方の例

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出典:https://gokuniku.com

 

「うわぁ~♪見て下さい!このニクジル~!」

 

今日もまたグルメレポーターがテレビで叫んでいます。ニクジル。

 

恐らく「肉汁」の事を言っているのだと思いますが、正しくは「にくじゅう」です。

 

漢字の右半分にあたる旁〔つくり〕ここで言う「汁」の右側「十」は、

 

①部首となるもの
②偏〔へん/左側〕の声符(読み方の音符)となるもの

 

があります。

 

一般的には①なのですが、全体の字数で見ると②の方が断然多いのです(例:「江」の「工」など)。

 

なので「汁」の右側「十」は「じゅう」と読み、だから「肉汁=にくじゅう」なのです。

 

ただあまりにも「ニクジル」が多くの人に頻繁に使われていて、“間違った読み方だから使ってはダメ!”と今更言っても変えられないのが実状です。

 

そこで「ニクジル」は慣用(=習慣として世間に広く使われること)された読み方であり、間違いとは言い切れないという位置づけになりました。

 

但し、アナウンサーが放送で用いるのにふさわしい言葉の発音・アクセント等が載った辞典の中では「にくじゅう」です。

 

慣用表現としてのニクジルは認められましたが、放送にはふさわしくないということ。

 

確かにアナウンサーで「ニクジル~♪」と言っている方は見かけません。

 

間違った使い方の例

 

「すごいカワイイ!」や「すごい辛い」など、「すごい+形容詞」は正しい表現ではありません。

 

正しくは「すごくカワイイ」「すごく辛い」です。

 

これも上段の「肉汁」と同じく、“慣用された”使い方として定着しつつあります。

 

また「(郵送で)お送りさせていただきます」は誤りで、正しくは「送らせていただきます」又は「お送りします」ですし、「おっしゃられたように(二重敬語)」は誤りで、正しくは「おっしゃったように」です。

 

意味が変わった例

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出典:http://www.fleapedia.com

 

「やぶさかでない」という言葉の意味をご存じですか。

 

出し惜しみする、ためらう、といったニュアンスで認識している方が多いと思います。

 

でも「やぶさか」=「気が進まない・気乗りしない・あまりやりたくない」であり、やぶさか“ではない”と否定しているので、「喜んで~したい」「是非やりたい」という、ほぼ積極的な意思を表す言葉なのです。

 

「天地無用」は「上下を気にしないでよい」のではなく「上下を逆にしてはいけない」ですし、「煮詰まる」は「結論が出せない状況になること」ではなく「結論が出る状態になること」です。

 

このように本来の意味と違ってしまった言葉は沢山あります。

 

まとめ

 

言葉は生き物です。常に時代とともに変化し新しい言葉が生まれます。

 

ですから、以前と変わった=間違い、ではありません。

 

慣用されてしまった読み方も、間違った使い方も、変わってしまった言葉の意味も、変化の過渡期は「それは間違っている」と違和感を感じてしまうかもしれません。

 

でも長い年月を経れば、間違っている訳でも、正す必要もないのです。

 

 

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